農水機密、サイバー攻撃…TPP情報など流出か

農林水産省がサイバー攻撃を受け、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などを巡る機密文書二十数点を含む延べ3000点以上が海外に流出した疑いの あることが分かった。公用パソコンが遠隔操作され、海外のサーバーと通信している痕跡が見つかった。2012年4月の日米首脳会談と11年11月のアジア 太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の直前に作成された文書が狙われたとみられる。日本の外交方針が筒抜けになっていた可能性が高い。


 関係者によると、流出の疑いが生じているのは、11年10月から12年4月に作成された内部文書。

 12年4月の日米首脳会談の前に作成された文書では、当時の野田首相とオバマ米大統領の共同声明のTPP関連部分について、外務省と意見交換しながら作成した文案や、会談で首相が発言する予定の「総理発言要領」、現地での首相の行動予定などが含まれていた。


 また、日本がTPP交渉への参加を表明するかどうかが注目された11年11月のAPEC首脳会議の直前に作成した文書では、TPP参加時期に関する首相の意向などが記されていた。

 TPP交渉に参加した場合の工程表や、判断を先送りした場合の影響を検討した文書など20点以上の機密文書もあった。いずれも政府の機密性の統一 規範で、3段階のうち2番目(漏えいで国民の権利が侵害されるか、行政事務に支障を及ぼすおそれがある情報)に指定されていた。


 これらの文書は、TPPなど国際交渉を担当する職員らのパソコンから別のパソコンに集められ、通信しやすいようにデータが圧縮されていた。また、 情報が集約されたパソコンが不正通信を繰り返していたサーバーのIPアドレス(インターネット上の住所)は韓国内にあり、攻撃者がこのサーバーを操作して いたとみられることも農水省の調査で判明。操作画面はハングルで表記されていた。

(2013年1月1日03時02分  読売新聞)


安倍内閣始動 TPP、参院選前に方針 自民・石破幹事長

European Pressphoto Agency
26日、都内の皇居で天皇陛下から任命を受けたあとの安倍晋三・新首相(中央)と麻生太郎・新副総理・財務・金融相(左から2番目)、谷垣禎一・新法相(右)
産経新聞2012年12月28日(金)11:18

 自民党の石破茂幹事長は28日午前の記者会見で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉参加問題について「(来夏の)参院選までに党として何らかの対処方針は当然決めなければならない」と述べ、参院選前に方針を示す考えを明らかにした。

 一方、自民党有志議員による「TPP参加の即時撤回を求める会」(会長・森山裕衆院議員)は28日午前、党本部で政権復帰後初の総会を開いた。出席者から「TPP交渉に参加するべきでない」「メリットが全くない」「情報開示が不十分だ」など、交渉参加に反対する意見が続出した。

 同会は、初当選組を中心に66人が新規加入し、メンバーは党所属議員の半数近くに相当する181人に膨れた。総会には木村太郎首相補佐官や江藤拓農林水産副大臣らも姿を見せた。